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It is not possible to live if there is no whisky.


by sakelife

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思い出の酒


今回の文章はお酒の紹介ではありません。
又、とても私的且つ女々しい内容なのでご注意ください。


私にとって酒とは性欲のように切り離せないものです。
初めて異性を抱いた時と、美味いウィスキーと初めて出会った時が切っても切れない関係にあるためかもしれません。

今を遡る事十一・・・・いや、お酒は二十歳からでしたよ。

初めて異性との関係を結んだ日に、大人を気取り父親のウィスキーを勝手に呑みました。

その日は二度も世界が変わったように感じるました。

彼女と別れた時にもそのウィスキーを呑みました。

新しい彼女が出来た時もそのウィスキーを呑みました。

仕事を始め、住み慣れた街を出て行くその日にもそのウィスキーを呑みました。

仕事場で辛いことがある時にもそのウィスキーを呑みました。

密かに好きだった相手が結婚する時もそのウィスキーを呑みました。

そうやってそのウィスキーはかけがえないものになっていきました。
このままそのウィスキーを私は飲んでいくのであろうと思っていました。
ですが別れは意外と早くやって来ました。

私にとって転機になった年齢の時です。
その頃に付き合っていた相手に手痛い指摘を受け、振られました。
彼女とはそのウィスキーを時々飲んでいました。
珍しく呑みにも付き合ってくれる女性だったのです。

私は密か彼女と所帯でも持てないかと考えていたのですが、それは一方的な妄想に過ぎませんでした。

現実を突きつけられ、私がそんな事をする力量のない人間だと痛感させられました。
その日に、家にあったそのウィスキーを一本空けました。そして当然のことながら三日間ほど何も出来ない状態になりました。

二日酔いと自己嫌悪に襲われながら私は決断をしました。

彼女との思い出を完全に打ち捨てる事です。

その中にはそのウィスキーも含まれていました。

いままでも付き合っていた彼女と別れる度に写真や貰ったものは捨ててきました。
そうしなければ引きずる事が分かっていたからです。

でも、そのウィスキーだけは何時も除外していました。

それは直接そのウィスキーが彼女との思い出に関わることがなかったからです。

ですがその時の彼女はそのウィスキーは関わりをもっていました。
だから私はそのウィスキーを呑むのを絶たねばなりませんでした。

しかし、容易に止めることが出来ずにしばらくはズルズルと呑んだりもしました。
そして飲むときには彼女の事を思い出したりもしていました。

ですがいつまでもそんな事を続けるわけにはいきません。

思い出深いウィスキーです。それでもなんとか別のウィスキーを好きになることでそのウィスキーと決別しました。

それから暫くは、酒屋で別の銘柄を買う時に、そのウィスキーが寂しそうに見つめているように感じたりもしました。
何度も手を伸ばしたこともあります。

でも、なんとか買うことなく日々を過ごしていきました。

そのウィスキーについて考える事が無くなり、止めた理由も忘れてしまった頃に妻と一緒になりました。

それから数年が過ぎ、久々にそのウィスキー手にとった時のは先日の事です。

「随分と呑んでいなかったな」とだけ思っただけでした。

そのウィスキーで妻と晩酌をしている時にも、こんな思い出があった事すら忘れていました。

思い出したのはウィスキーについて感想を書こうと考えた時でした。

自分が恥ずかしくなりました。

あれだけウジウジと悩み、そのウィスキーを止めたというのにすっかり忘れてしまっていた事に・・・

思い出したのですから、そのままそのウィスキーを絶つべきなのかもしれません。
ですが、こうしてそのウィスキーとは何のわだかまりも無く再会できました。
もっとも私が一方的に振っただけでしたが、それでもそのウィスキーは昔と同じように私を受け入れてくれました。
ですのでこの再会を私は大事にしたいと思います。

いずれそのウィスキーについても記述することがあるかもしれません。
ですが、今しばらくはそのウィスキーとの再会を何も考えずに楽しみたいと思います。


・・・オチとかないよ

by sakelife | 2006-08-03 00:16 | 酒蔵~酒への思いを綴る~